【「あなたのペットの毛を混ぜて・・・」って?】

2006年創業の◆うちの子製作所◆。
あなたのペットの毛を混ぜてその子そっくりに作る、世界にたった一つの小さ なぬいぐるみ
(当時は猫ちゃんやうさちゃんも対応していたので「ペット」と表示)」がキャッチフレーズでしたが創業当時から数年間はほとんどのオーダーが羊毛フェルトだけでのお作りでした。なぜなら◆うちの子製作所◆にオーダーくださる方々の9割がたがわんちゃんを亡くした方々。そしてその際に遺毛を保存していなかったからです。

が、ここ2,3年で状況は大きく変化しました(2019年10月現在)。
ほとんどの方が遺毛を、それもとてもたくさん保管されています。なので遺毛のお取り扱いについてもう少し細かくお話しさせていただきたいと思います。




【羊毛フェルトを使うとなぜ動物などを形作ることができるのか】

まず、なぜ羊毛フェルトを使うとわんちゃんを始めとする動物を形作ることができるのか、という、ごく基本的なことをお話しさせていただきたいと思います。
?わんちゃんの毛(というより羊毛以外、人間も含めて)は毛の表面がつるつるしている為、毛同士を絡ませることは容易なことではありません。「え?だってうちの子、ちょっとブラッシングしないとすぐに毛玉になっちゃうよ?」と思われることでしょう。でもそれはそれなりに数時間から数日間という長い時間をかけて毛玉が形成されるもの。
 ところが羊毛フェルトの場合は毛の表面がザラザラしていて絡みやすい為、特殊なニードルを使うことによって一瞬で毛同士を絡ませることができるのです。つまり羊毛同士が接着剤の役割を果たしていると言って過言ではありません。
わんちゃんの毛をそのニードルを使っていくら刺していっても全く塊にはなりません。(その部分だけを数時間刺し続ければいつかは塊になるでしょうけれど)そしていつか塊が出来たとしても決して思うような形にはならず、いびつで単純な形にしかなりませんが、羊毛ならかなりの細かな細工が可能です。

 ずっと以前、まだ◆うちの子製作所◆が猫ちゃんもお作りしていた頃の話ですが、愛猫ちゃんを亡くした方から「100%うちの猫の毛で作ってください。あのビロードのような最高の手触りをもう一度蘇らせてください!」というお問合せをいただきました。前述のような内容・・・猫の毛はつるつるしているから毛同士が絡まない、羊毛なら接着剤がわりになるからそれで形を作らないと無理・・・などというお話を極めて丁寧にご説明させて頂いたのですが、ご納得いただけず苦労したことがありました。正直、ご希望に沿う方法は何十万円もかけて剥製業者さんに注文するしかないと思います(そうは申し上げませんでしたが)。

 つまり「あなたのペットの毛を混ぜて・・・」というキャッチフレーズはまだこのお仕事を始めて間もない頃の無知で経験の薄い製作職人が誠に安易な気持ちで「わんこの毛同士は絡まないけど羊毛と混ぜてなら作れるな」ということでつけたフレーズでした。実際自分の飼っていたヨーキーの毛と羊毛を混ぜて作ったりもしていました。
 しかし混ぜても大丈夫な部分もありますが、逆に犬の毛は硬いのでツンツンと飛び出してしまったりしてきれいな形に作れないことも多々あります。なので羊毛と遺毛を混ぜて植毛する方法も必ずしも常に可能、というわけではありません。遺毛の毛質や植毛する部位によって左右されます。
 一応ざっくりではありますが、毛質による使用可能なパターンを以下に記しましたのでご参考になさってください。


《ストレートの毛質のシングルコートの場合》
基本的には羊毛と毛との違和感が出ない部分としてお耳と尻尾に毛をおつけ出来ます。毛質によってはおなかなどにもおつけできる場合もあります。

《ストレートの毛質のダブルコートの場合》
基本的には羊毛と毛との違和感が出ない部分としてトップコートをお耳と尻尾へおつけしますが、色や量、その他の条件によってはアンダーコートをおなかなどにおつけすることができます。

《プードルなどのカール毛種の場合》
ほとんどの部位への植毛が可能です。ただし毛の質や量によっては植毛できない場合もあります。

 ※プードルちゃん達の毛は羊毛と非常に近い性質を持っています。それゆえ、ほとんどの部位への植毛が可能です。ただしカールの巻き具合が所詮最低でも2kg、スタンダートなら30kgほどもある子の巻きに対してわずか20cmやそこらのぬいぐるみにつけるのですから巻き具合の再現性は大きく異なる事はご了承ください。

 

【そう。わずか20cmやそこらの小さな小さなぬいぐるみなんです】

 ちょうど2行上に記しましたが、◆うちの子製作所◆でお作りするのは体長15〜30cm程度の小さな小さなぬいぐるみ。体長1m以上もある子達と比較したら全てにおいてその「割合」が大きく異なります。。例えば毛の一本にしても、秋田犬ちゃんや意外なことにジャックラッセルちゃんの毛の太さは小さなぬいぐるみにとっては毛ではなくひげ、いえいえ、下手をすると爪くらいの太さに匹敵するものなんですよ。なので仕上がってみたらイメージとは違ってしまうことも決して珍しくはありません。◆うちの子製作所◆はできる限りの丁寧な仕事を心がけてはおりますが、これだけは決してクリアできない問題ですのでご理解のほどお願い申し上げます。

実際に植毛できる毛の量としては一概には言えませんが大体5グラム程度です。ただお預かりした中に使いにくい毛束があったりしますのでそれより少し多めにいただくといいかもしれませんが、大量にお預かりしても使わなかった分をお返しするのに送料が余分にかかるだけになりますのでご注意ください。

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